毎月発表される『軽自動車 車名別新車販売台数』において長らく首位をキープしていたホンダの『NBOX』が2019年11月発表のランキングでついにトップの座をダイハツの新型『タント』に奪われた
NBOXも二代目にフルモデルチェンジしたのが2017年の8月なので販売台数も落ち着いてきた感じがある
新型タントは2019年7月に販売が開始され、新プラットフォーム『DNGA』採用による軽量、高剛性化による乗り心地の向上や運転席が最大で540mmもスライドする「運転席ロングスライドシート」による利便性のさらなる向上など魅力が大幅にアップしたスーパーハイト軽自動車である
初代タントが登場するまでは軽自動車の売れ筋と言えばワゴンRやムーヴといった全高が1650mm前後の所謂ハイト系の軽自動車が主流だったが、軽自動車規格でまだ使い切ってなかった全高に目をつけて投入されたのが初代タントである
その全高は初代モデルでも1725mmもあり軽自動車を感じさせない広い空間は多くの人を魅了した
そんな軽自動車のスーパーハイト系というジャンルを作りあげた『タント』と長らく首位を独走していた『NBOX』、2車にはどのような違いがあるのだろうか。 比較してみた
●外観
▲タント ノーマルモデル
▲NBOX ノーマルモデル
全長は両車とも軽自動車規格いっぱいに使った3,395mm、全幅も両車同じ1,475mmとなっている
全高に関してはタントが1755mm、NBOXが1780mmとなっている(いずれも2WD)。
▲タントカスタム
▲NBOXカスタム
カスタムモデルは両モデル先代のギラツキ感が抑えられてシックで上品な外観になった。 どちらも箱型ボディだがタントカスタムの方はヘッドライトに少し丸みを持たせるなどして先代とは大きくテイストを変えてきた印象をうける
●内装
▲タント ノーマルモデル
▲NBOX ノーマルモデル
どちらもAピラーを立たせてガラス面積が大きく開放感に優れたインテリアになっている
メーターの位置はタント、NBOXともにステアリングの上側に設置されていて運転中でも視線移動が少なくすむタイプになっている
助手席前に大型のトレーがあったりステアリングの前に収納スペースがあるなど両車似通ったところがあるが、NBOXがステップワゴンの質感をそのまま縮小したような上質感が感じられるインテリアに対して、新型タントは色使いやメーター形状が先進的で新鮮味の感じられるデザインになっている。
タントはドリンクホルダーがエアコンの吹き出し口の前にあり、エアコンの風邪によりドリンクの保温保冷を行うことが出来る
タント、NBOX両車内ともに500ミリの紙パックをホルダーできるのも魅了的なポイントである
●シートアレンジ
多彩なシートアレンジが可能な両車だがそのアレンジの方法が微妙に異なっている
タント
タントと言えば二代目モデルから採用されている『ミラクルオープンドア』と呼ばれる助手席側のセンターピラーをなくした(ドア内部にピラーを内蔵)大開口のドアが有名だが、今回の新型モデルからは更に加えて運転席のロングスライド機構の採用により乗り降りのしやすさがより向上した。
運転席が前後に540ミリ、助手席が前後に380ミリ動かすことが出来る。
車幅に制約のある軽自動車で前のシートと後ろのシートへのアクセスが車から降りずに行うことができる
後ろのチャイルドシートに座らせている子供のケアも車から降りずに出来るのでミニバンの様な使い方ができる
NBOX
NBOXにも『スーパースライドシート』と呼ばれる助手席がロングスライドするグレードが設定されている
570ミリのスライド幅があるのでこちらもタント同様に前席、後席への移動が車から降りずに出来る。 ただし、タントと違い運転席にはロングスライド機構は設定されていないのでウォークスルーの容易さはタントが優れているように思う
●積載性
全長が3,395ミリと制約のある軽自動車規格の中でタント、NBOXなどのスーパーハイトワゴンは驚くほどの後部座席スペースを確保している。
当然それだけ後部座席が広ければ荷室スペースはそんなに広くとることは出来ないが両車どれだけの荷物を積載できるのだろうか。
タント
▲**開口幅、高さともに十分である。
奥行きに関してはやはり軽自動車なのでそれほど大きな奥行きは確保出来ない
しかし後部座席は左右分割でスライド可能なので荷室の容量を増やすことが出来る**
NBOX
▲**センタータンクレイアウトと呼ばれる燃料タンクを前席の下に配置するホンダの特許技術により低床フロアが可能になっている
自転車を積載する際もあまり持ち上げずに載せることが出来る**
▲また後部座席を跳ね上げることが出来るのでは背の高い荷物を積むこともできる
●安全性能
タント
スマートアシストと呼ばれる先進予防安全技術がさらにアップデートされ従来のものより機能が強化された
▲全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)により、先行車を検知しながら自動で追従走行してくれる
高速道路を使った長距離クルーズにおいてもアクセルとブレーキ操作を支援してくれるので疲労軽減に大きく貢献してくれる
▲LKC(レーンキープコントロール)
約時速60km/h以上で走行中にACCを設定していたら車が車線の中央を安定して走行するようにハンドル操作をアシストしてくれる
▲スマートパノラマパーキングアシスト
(駐車支援システム)
駐車時にカメラで駐車枠の白線を検知 音声とモニターガイドに加え、ハンドル操作もアシストしてくれる機能、縦列駐車にも対応している
NBOX
全タイプに先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」を標準装備
レーダーと単眼カメラにより対象までの距離や形をとらえ、もしもの時に警告や緊急ブレーキをかけてくれる
▲マイナーチェンジで機能がアップデートされ横断中の自転車や夜間の歩行者も対応するようになった
▲先行車に追従して走行してくれるACCが搭載されている。ただし全車速追従式ではなく車速が時速30km未満になるとACCは解除されてしまう
▲標識認識機能
カメラで標識を認識してインフォメーションディスプレイに表示してくれる機能。制限速度や一時停止などをカラーでわかりやすく表示してくれるのでとても助かる機能である
まとめ
軽自動車のジャンルにおいて最も人気のあるスーパーハイト系
ファミリーユースだけでなく、介護が必要な方がいる場合でもスロープ仕様が用意されていたりと幅広い場面で活躍しているジャンルである。
そんな激戦区において長らく首位をキープしていたモンスター軽ワゴン「NBOX」が今回首位を「タント」にゆずってしまったのは大きなニュースだろう
タントが首位をキープし続けることが可能なのか気になる所である